「N291 Iwaki 岩城信嘉展」砺波市美術館

2009-11-24 12:36

砺波市美術館で開催中の「N291 Iwaki 岩城信嘉展」を観てきた。岩城信嘉は城端(じょうはな)(富山県南砺市)の生まれで、昨年に享年73歳で亡くなられた造形作家。晩年には岩城信嘉から、N291 Iwaki と名前を変え活動していた。その一周忌となる総合的な展覧会だ。

今回は「偽証」「曲体」という石と鉄を組み合わせた作品の実物が展示されているほか、一連の「EARTH WORK」作品の写真展示が行なわれていた。写真とはいえその迫力には圧倒させられる。

岩城信嘉「曲体」

さらに「EARTH WORK」シリーズ中の傑作ともいえる、カリフォルニアの海岸で行なった三本の巨石を倒すまでのドキュメント映像が圧巻だ。人工的に設置された石柱と、その足元の砂を浸食する自然の波のコラボレーションにより生み出されるその行為は、無駄な様でいて、倒れる瞬間は待ち続けたものの達成感のような不思議な感動を覚えさせらるのだ。

2000年以降に作成した「世情慨嘆木版画」シリーズも展示されており、EARTH WORKS とは違った一面を垣間見ることができる。2階の常設展の会場にも、石像や「香立て」など何点かの岩城信嘉作品が展示されており、とても幅が広く多彩な作家だったのだなと感じさせられた。

常設展 ジャンルー・シーフ

砺波市美術館は写真のコレクションに力を入れているのも特徴の一つだ。

常設展ではジャンルー・シーフ(1933-2000)のモノクロ写真が展示されていた。この写真家のプリントには引き込まれてしまう魅力がある。一番気に入ったのは《早朝の‘カフェ・ド・ロール’》。閑散とした街の道路を横断する人の一瞬を切り取った感覚が素晴らしい。

また、ジェーン・バーキンを初めとする人物のポートレートもついつい見つめてしまうクオリティで、モード写真もこれまた良かった。こちらもぜひ足を運んでいただきたい。

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