砺波市美術館 写真ーラルティーグ、ドアノー、髙道 宏ー / 常設展 下保昭、シーフ

2024-3-10 15:34

砺波市美術館は写真のコレクションも充実している。

少し前のことだが、冬に開催されていた「館蔵品展 砺波市美術館コレクションに見る写真ーラルティーグ、ドアノー、髙道 宏ー」を訪ねた。なんと入場無料である。ありがたいことだが観客はまばらだった。

砺波市美術館コレクションにみる写真

砺波市美術館コレクションにみる写真


入るとまず砺波市出身の高道宏さんの写真が目に飛び込む。ご自身で印画紙の作成から現像を手がけていた高道宏さんの写真は、北海道や東北、とくに十和田湖や八甲田の森の神秘的な風景を収めているが、どこか温かみを感じる色合いに仕上がっている。『もう一つの銀河系 北海道標茶町シラルトロ湖畔』は幻想的で見入ってしまう。

続いてロベール・ドアノーの写真が並ぶ。砺波市美術館にはドアノーの代表的な作品である『市役所前のキス』も収蔵されていて、これを含めて多くの作品を間近で観ることができた。この作品は偶然ではなくモデルを使った演出であることが後に知られたものの、写真の魅力は全く色褪せていないのが素晴らしい。

砺波市美術館コレクション展の様子

砺波市美術館コレクション展の様子


ジャック=アンリ・ラルティーグの作品はわずかに5点だったが 1910年代の撮影3点を含む貴重な写真。子どもの頃に親から買い与えられた写真機で撮影した写真らしいが構図が素晴らしい。他に安齊重男、井津建郎両氏の作品も並ぶ。井津建郎の写したカンボジア、アンコールの遺跡写真はその場所に積み重ねられた長い年月をしっかりと写し取っていることが伝わってきた。

さて2階の常設展(こちらは有料だか 210円)も面白かった。砺波市出身の日本画家の下保昭氏と、ジャンル-・シーフの写真が並ぶ。こちらも観ておきたい。

砺波市美術館 常設展示室3 日本画の世界(下保昭)

常設展示室3 日本画の世界(下保昭)での展示


下保昭と言えば幽玄な渓谷などを描くが、ここには初期の1953年『河岸』(写真右)という珍しく人工物を描いている作品が展示されていた。そこから貴黄色を多用した抽象的な要素も感じられる1961年の『沼』、独特にデフォルメされた景色を描いた1964年『黒部峡』を経て、絶頂期の『知床夕照』『黒部幻瀑』へと作風が変化していく様子がよくわかった。

砺波市美術館 常設展示室2 シャンルー・シーフ

常設展示室2 シャンルー・シーフでの展示の様子


またシーフの写真も Vogue のためのモードな写真でとてもお洒落。ジェーン・バーキンを撮ったものもあり、こちらでも写真がこちらも楽しめた。

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