椎名誠写真展「五つの旅の物語プラス1」ミュゼふくおか

2011-4-6 15:28

ミュゼふくおかカメラ館で開催中の椎名誠写真展 「五つの旅の物語-プラス1」を鑑賞してきました。

小説化ながら、写真作品も多数発表されている椎名誠さんの、世界各地の5つの冒険 (+1)の様子を収めた写真が展示されています。

ノイズの載ったモノクロの写真と、細かく付けられた解説文が冒険の気分へと誘います。撮影された年代も90年代のタクラマカン砂漠から2010年に撮影された津軽まで様々。

個人的にはかつて学生時代に読んだスウェン・ヘディンの『さまよえる湖』の記憶と重なるタクラマカン砂漠の写真が印象に残りました。椎名誠もこの本に魅せられ、ヘディン隊以来外国人としては実に54年ぶりに足を踏み入れることになったときの記録です。

タクラマカン砂漠はウィグル語で「一度入ったらでられない」という意味なのだとか。よくそこに赴いたものです。個人的には『さまよえる湖』は翻訳本で読みづらかった印象がありますが、椎名誠さんの砂の海―楼蘭・タクラマカン砂漠探検記であれば写真もあり、読みやすいのではないかと思います。

椎名誠写真展

椎名誠さんの写真にはモノクロームに極めてノイジーな写真があります。しかしこれはわざとやっているのではなく、機材としての必然性だったようです。

砲艦リエンタール号によるマゼラン海峡の公開では、荷物の関係から当時世界最小だったミノックスにフィルムを入れていたそうですが、巨大な撮影対象に圧倒されてISO設定を間違えたため、粒子が粗くなっているとか。

またチベットでは Nikon F3 に200mm/F2 のレンズとテレコンを用い、手ぶれしないようにスーパープレスト1600を用いたとのこと。いまではデジタルの機材に移行しているそうです。

辺境を旅する作家・写真家として、椎名誠さんの活躍にこれからも期待しています。

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