枡野浩一『もう頬づえをついてもいいですか?』
2011-4-22 21:50
歌人枡野浩一さんの文庫本『もう頬づえをついてもいいですか? (実業之日本社文庫)』。
この本は2004年に単行本として刊行されたもので、映画のエッセイ集であり、短歌集でもあるという変わった本だ。
AからZのアルファベットで始まる映画について、短い文章でエッセイが綴られているが、かならずしも映画の評論とはなっていない。かなりマイナーな映画もあるし、アルファベットを揃えるために無理やり持ってきたような映画もある。
それなのにおしゃれな映画を観ているような、もしくはワンシーンを切り取ってみたような、そんな錯覚にとらわれてしまう。
この本の面白さは、枡野浩一が書いた短歌がハニーの写真の上にシネマ文字で表現されていることだ。シネマ文字はその道のプロである渋谷展子さんにより手書きで書かれているとか。これが映画的な雰囲気を強くしている。
本書を読んでやるせなくなるのは、本書の執筆と並行して著者の枡野氏に降りかかった災難が一因だろう。それが何かは連載が元になっている本書を読み進めていくと、次第に分かるようになっている。ここではそれを書かないでおくが、なかなか辛いものだ。気になる方はぜひ手にとってご覧いただきたい。
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