森山大道『犬の記憶 終章』

2010-7-12 18:18
犬の記憶 終章

森山大道の『犬の記憶 終章』は、この前に紹介した『犬の記憶』の続編。この内容は1997年の一年間、『アサヒグラフ』誌に連載された森山大道のエッセイをまとめたもので、現在は文庫化されている。

森山大道がパリ・大阪・神戸・横須賀など各都市にまつわる思い出を写真とともに綴るエッセイだ。

この頃の森山大道の写真と文章は本当によく心に響く。伝わる何かがある。『犬の記憶』の前半部分は格好付けすぎだが、本書『犬の記憶・終章』は、ほどよく森山大道氏の本心が書き綴られている。読んでいるととても感情移入してしまうのだ。

森山大道氏は写真だけでもインパクトがあるが、文章と合わせてみることでまるでそこにタイムスリップしてしまうような錯覚を受ける。

本書では森山大道氏が独立していく仮定や、さまざまな撮影のエピソードも織り交ぜて書かれている。一部は前書と重なる部分があるがムダとは感じない。森山大道を知るにはこちらもお薦めの一冊だ。

『犬の記憶』と合わせて読むと森山大道氏の考え方を少しは知ることが出来るのではないだろうか。

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