第10回全国路面電車サミット2010富山大会その2

2010-5-22 23:54

第10回全国路面電車サミット2010富山大会その1からの続き)

続いて、森雅志富山市長の講演「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」がありました。これが一番面白く楽しい内容でした。森市長はカリスマがありますね。話し方がとてもわかりやすく、声も大きくて、引きつけられる内容でした。

第10回全国路面電車サミット2010富山大会 森雅志富山市長による講

富山市は全国で1、2位を争うほどの車社会で一世帯当たりの保有台数が1.72台、通勤の83.8% が自家用車利用という車社会です。公共交通の衰退が激しいこの富山市で、なぜ富山ライトレールが成功を収め、セントラムの開業ができたのか。森市長が熱弁をふるいました。

第10回全国路面電車サミット2010富山大会 森雅志富山市長による講演

一人一人の市民からすれば車があればとても快適なですが、これは車が使えない人にとっては住みにくい街になっているとの課題認識から始まります。ショッピングセンターが郊外にオープンし、病院などの施設も郊外に移転していきます。いまのまま拡散形の街をつくると、中心部は空洞化し、高齢化社会で車を運転できない人が増加した時にどうなるのか。

富山駅を中心として、公共交通を核とした「お団子と串」形のまちづくりを目指すことにより、凝集した範囲においては行政コストを下げることができると言います。

富山市が目指す「お団子と串」型のの都市を説明する森市長

そまための方針として「公共交通をブラッシュアップ」「人を誘導する」「空洞化を防ぐ」といった考えが出てきて、そこから富山ライトレールやセントラム(環状線)の整備、高山線の増発実験という考えが出てきています。つまり、LRT ありきではなく、富山市の目指すまちづくりを考えた上で出てきた施策なのですね。

富山ライトレールは実に41年ぶりの新規路面電車となったわけですが、道路の車線を縮小し、軌道を通すことに関しては目立った組織的反対運動はなかったと言うことです。これは富山市には地鉄の市内線が残っていたので、市民が慣れていたということが背景にあるようです。宇都宮など他都市でも LRT の導入が検討されつつ反対も根強いのは、このような要因もあるのだと思います。

(続きます。)

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